◆お稽古のお菓子◆

2011年1月16日

”花びら餅” ”玉うさぎ”

2011.1.16 東宮 ”花びら餅”

茶の湯でいただくお菓子は、季節を愛でるものなので、一期一会のものです。
ですから、選ぶ菓匠や選ぶ菓子、
それは、二度と出会うことのないものである確率のほうが高いくらいです。

新年、初釜の日。
やはり、花びら餅をいただきました。
正式な名称は 『菱葩餅(ひしはなびらもち)』
このお菓子は、茶道裏千家 の初釜の主菓子でもあります。

現在のような形の 『花びら餅』 は、
明治時代に京都の川端道喜が はじめて作ったと言われているそうです。
多くの和菓子店が作るようになり、元々宮中の行事食であったものが、
最近では、茶の湯の世界という狭い枠のものではなくなったような気がしています。

今年は、このところ出番の多い
東京世田谷千歳船橋に店舗を構える東宮さんの 『花びら餅』です。
姿かたちの景色の良さは勿論、美味しさにも間違いがないので、
本当に楽しみでした。

艶やかな外見は餅というより、求肥のようです。
桜色をうっすら表現してあり、上品な装いです。
お約束の牛蒡は、程よい甘さに仕上げてあり、
味噌餡は柔らかい香りがする程度に仕立ててありました。

♪ブログ♪


2010年1月 たねやさんの花びら餅は、こちらから
2009年1月 菊家さんの花びら餅は、こちらから
2008年1月 仙太郎さんの花びら餅は、こちらから




2011.1.16 東宮 ”玉うさぎ”


『卯』 とは、干支(十二支)の四番目で年、日、時刻などにあてはまますが、
方角では、「東」、陰暦二月の異称であると言います。
卯の刻とは、夜明けの6時を中心とする2時間を指すそうです。

『卯』 の本来の読みは 「ぼう」 (茂、冒)。
草木が地面を蔽うようになった状態を表していて、覚え易くするために、
のちに動物の兎があてはめられたという経緯があるそうです。
干支の文字は、そういった語源が由来が面白いものです。

その干支のうさぎ。
跳躍力に優れているので飛躍、発展の年になる、
耳が長いことから「たくさんの情報をキャッチできる」、「聞き上手になれる」 などともされています。
また、赤い目は魔除けになるとして昔から聖なる動物とされているそうです。

その魔除けの赤い目が、卵型の薯蕷饅頭に愛らしくつけられている 『東宮』 さんの 『玉うさぎ』
菓銘も洒落ていますね。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、耳や手足が型押しされています。
繊細です。

そして、中の餡が独特でした。
写真では、黒っぽく写っていますが、水羊羹のような色でした。

小豆の皮をむき、極細メッシュで裏ごししたとかいう、最高級のあん、
『皮むきあん』 と呼ばれるものでしょうか?
雑味がなく、まろやかで口どけのよい、あっさりとした餡でした。

一年の始まり、寿ぎを印象づけるような丁寧な仕事に、
日本人の細やかな心を感じたような気がいたしました。

 




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