◆お稽古のお菓子◆

2010年1月17日

”幸とら” ”葩(はなびら)餅”

2010.1.17 虎屋 ”幸とら”



この日は初釜でした。
いつもなら午後からお稽古をするのですが、
内々でお客様もお招きして、午前からお仕度をし、濃茶、薄茶をいただきました。

濃茶でいただいたのが、虎屋さんの干支菓子、『幸とら』 です。
虎屋さんの”寅”。これは、なかなか楽しい…。
虎屋さんも、お力を入れたのではないかと想像します。

しかしながら、このキュートな意匠は、新作の干支菓子として、最近は定番なのかもしれません。
昨年の”丑”も、この”寅”と同じような形態で、羊羹製のものがペロリとかけられたものでした。
それは、白とピンクで、いただく幸せがいっそう増すような演出のものでした。

老舗の虎屋さんですから、デザインとお菓子を作る職人さんは、別の方たちではないかという感じがしております。
このユニークなデザイン、かなり前衛的です。
老舗でありながら、この頭の柔らかさ。
伝統を守りながら、時代に即したお菓子作りもされる…。さすがです。

このお菓子は、12月に店頭に置かれている一覧表を見て皆で決めましたが、
本来なら年末年始だけの販売の商品でした。
ですが、さすがは老舗の虎屋さん。融通も利いています。
10個以上であれば受注してくださるとのこと。
お願いしました。

材料は、小豆、白小豆、小麦粉、寒梅粉、肉桂、くちなし色素とありました。
羊羹製で丸い御膳餡を巻いたものです。
御膳餡とは、上質なこしあんのことをそのようにいうんだそうです。
いただいてみると、柔らかなニッキの香りがいたしました。
しっかりしたお味で、ボリュームがあり、濃茶をいただくのに、niceなチョイスでした。




2010.1.17 たねや ”葩(はなびら)餅”





新春を祝う餅菓子の花びら餅は、皇室の正月行事におせち料理やお供え、
配り物として使われる菱葩に由来しているということですが、
葩餅と書いてはなびらもちという菓銘にしているたねやさん、こだわりがあるようです。

また、花びら餅は材料が、餅、牛蒡、人参、白味噌とお正月のお雑煮の和菓子バージョンですが、
丸い餅(あるいは求肥)に紅の菱餅をのせ、味噌餡と甘煮した牛蒡を置き、
半円形に折り畳んだということも古式通りに作られていました。

初釜の菓子として使われるようになったのは、明治のことで、
裏千家11世玄々斎が宮中より許されたが始まりだということですが、
最近では、お茶の世界だけではなく、たくさんの和菓子屋さんがお正月の菓子として作るようになったことで
一般でも気軽にいただけるようになりました。
私がその名を知った20数年前は、扱うお店が少なく、なんだかとても大きなものだったように記憶しています。

梅や桜の花びらに見立て、各菓子処は意匠を考案するのでしょうが、
薄茶でいただいた、たねやさんの 『葩餅(はなびらもち)』は、
中の菱餅が、外からうっすらピンクに見えるような工夫なのか?オレンジともいえるような朱赤でした。
梅や桜の花をイメージした作為なのか?それとも人参を使うということでのことなのか?
意図的にそうしたと想像しました。

近江米を使ったお餅でこしらえてあるそうで、柔らかでモチモチとした食感。
お約束の牛蒡が、餡で巻いてありますが、その餡は味噌をほのかに感じる味わいでした。


2009年1月 菊家さんの花びら餅は、こちらから
2008年1月 仙太郎さんの花びら餅は、こちらから

 




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