亀末広で修行した、初代が、明治26年(1893)に暖簾分けし、
創業した下京区の松原通りにある和菓子屋さんです。
寺社の御用達でしたが、戦後、「野菜煎餅」のヒットから、 一般向けになったそうです。
現当主は、銀座の松崎煎餅の修行後、昭和45年に三代目を継承し、
大学での講義や、執筆活動でも著名な人でもあり、京文化の啓蒙を行っていらっしゃいます。
その存在は先日放映(2008・9・9)NHKの”プロフェッショナル”の出演で、
そのお仕事の流儀を拝見できました。
菓子作りと向き合う時に心に刻む言葉、「一期一会」。心に響きました。
鮮やかな水色に檜扇を 描いた華やかな包装紙。
これは、色彩の美しさで定評のある、日本画家、池田 遙邨(いけだようそん)画伯の手によるものだそうです。
この水色は、「末富ブルー」 とも呼ばれていて、
印刷の作業で、特別な作り方をしている、凝ったものであるということです。
質の高いお使いものの象徴として、定評があるのに納得です。
今日いただいたお菓子、”うすべに”は末富(すえとみ)の初代が、茶道薮内家との交流から発案した、
茶人とのコラボレーションのお品。
そのつつましい風情と抑えた色調、甘いお菓子を想像していただくと、頭のなかに!マークが飛び出します。
今流行りの塩味を感じるのです。
1箱12枚入り、1260円。包み紙やお箱も、とってもお洒落ですが
4枚ずつが紙に包まれ入っているその姿も、丁寧な仕事を感じます。
老舗ならではの、心遣いですね。
薄いピンク色した軽いお煎餅のようなお菓子は、お米の香りが良く、品があります。
お煎餅部分には、お砂糖がかけられていて、じゃりじゃりとした食感です。
二枚のお煎餅に挟まれているのは、梅肉餡です。
これが透けて、外見が、ほんのりピンク色です。
梅肉の酸味と、ほんのり味わえる塩気。絶妙なバランスです。
末富さんはは京菓子老舗界にあって「高級ブランド」であります。
レベルの高いお菓子を作りをされ、茶人・茶道関係者とのパイプが太いらしいです。
それだけに お客さまの信頼を裏切らないということがあるのかもしれません。
「いちげんさんお断り」の、まさに、京菓子老舗界の「高級ブランド」の菓子処ですが、
このお干菓子なら、店頭で気軽に購入でき、お使いものとしても洒落たお品になりそうです。