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柚子の闘病日記・no22


4月30日木曜日
 少し元気がない朝だった。
お水を飲みに連れて行っても飲まなかった。
散歩も朝ごはんも、最初はだめだった。
エンシュアリキッドや薬の液体を注入することで、舌が動くようになったので、その勢いでドッグフードを次々に口にほうりこんだ。
タイミングが大切だ。
右側に腫瘍があるため左側から入れるのだが、それも最近は、口先だと吐き出してしまう。
口の際から入れてやる。すると舌を動かす距離が短いからか、食べてくれる。

今はこの食欲が、安定剤によるものとはわかっていても食べてくれるだけで嬉しい。

午前、いつになく落ち着いていた。
調子が悪いのかとかと心配するほど…。

近頃、甘夏の出血と柚子の鼻汁で汚れたものの洗濯で時間が経過する。
お天気がいいので、布団にまで染みてしまったところを洗濯した。
2時間があっという間に過ぎた。

午前11時、熟睡とはいかないまでも、立ったままの姿勢から、崩れるように眠りに着くことを繰り返し、寝ていた。
どうして横になったりして眠らないんだろう。
ほとんどがそんな状態だ。
まるで寝てしまうのがいけないと、寝ることを拒んで眠気と戦っている感じだ。

2回目の散歩に連れ出そうか、別のことをしようかと思っていると、「お散歩、行きましょ」と私のそばまで近寄り、顔を見上げ、催促した。
お外に出ることは、このコの今の生きがいなのだ。
お天気がいいので、いつもより少し長く行くが、抱っこのままで、降りるというそぶりを見せなかった。
調子が悪いのか?
最近は、お散歩に行くという意思表示はしても、玄関から自分で出て行こうとしない。
抱きかかえて玄関外まで出し置き、鍵を閉め、右手に柚子を抱き、左手はかぼすと甘夏のリードを持つ。
外玄関の扉はそういうわけで、足を使ってゆっくりと閉めている。
お行儀が悪いと思うけど、仕方がない。

ほとんど抱っこのままだった。
家に少し近づいた頃、降りるという。
ウンチが出た。2日ぶり。
しかも、きれいな色のウンチだった。心配の種。一つ解決した。

けれど、アタシ自身が疲れていた。
気力がない。
そばで柚子を見ているための不安や心配なのか。
寝ているのに寝たりない感が毎朝ある。
ただの季節の変わり目の変化か。

このところ、考えている。
逝ってしまった時のこと。

今、咲いているつつじ花の白が嫌い。今までは、白い花が好きだったのに…。
祭壇の花を想像する。
悲しい色に見える。

こんなにも、死への恐怖が、心を萎えさせてしまうんだと、感じる。
この命が今日限りかもしれないという思い…。
痩せていくその姿、食べてくれない、眠ってくれないと、落胆する。

頬の腫れが酷く、顔つきが違うと、毎日の変化に心が痛む。

けれど今日は、いつもより落ち着いていた。
眠るという時間が少し多めにあったように思う。
私の横に置いたマットで寝るなんてことなんて、今まで一度もなかったのに、数分、眠っていた。
それは、一瞬にして、終わってしまったけれど…。

義母が下から、声をかけてきた。今でなくてもいい用事だった。
眠れない柚子を日中は、少しでも寝かせてあげたいと思っていた。
おやつはもらうが家族としては接することのない相手だった。だから起きた。吠えた。
声はつぶれていた。痛々しい吠え声だった。また出血すると思った。悲しくなった。

昨夕のおやつをあげている時の一言はこうだった。
「食べてちょうだい。思い出になるから…」。ちょっと酷い。

人さまが聞いたらおかしいのは私の方なのかな。
犬に気遣いをしてくれというのは…。

でも、もし私が、12歳になるわが子が、癌と闘っていてその看病をしているのだとしたらどうだろう。
看病中に、せっかく眠ってくれたコを起こされたり、そんな言葉をかけられたら…。
犬は犬でしかないのか…。


  

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