◆茶箱の点前(卯花点)


茶箱、茶籠の類は利休時代から茶人の旅持ちとしていろいろな形で好まれたり、また他の品を応用して使われていたようです。これは利休好み、宗旦好みなどと伝えられていますが携帯用ということなのでこれが定まった点前といってはなく、ただ旅の友として哀願されていたものであるようです。

茶碗、茶器、茶杓を袋に入れて茶箱を盆にのせてする「花」の点前、同じく器据(きずえ)にのせてする「月」の点前、掛合(かけご)でもってするのを「雪」の点前として雪、月、花の三か条の手続きはできたそうです。
その後この茶器の袋をはずして茶箱を盆にのせて点てる最も簡素な手続きが考案されて「卯の花」と名づけられたのだそうです。


● 茶箱点前は、雪、月、花、卯の花の四季四様があります。

1 卯の花点前  うのはな 「卯の花点前」は、夏の季、茶箱の平点前といえるもの。

2 雪点前  ゆき 「雪点前」は,冬の季、伝物点前、盆を使わず、掛合を用いる。

3 月点前 つき 「月点前」は秋の季伝物点前、器据とウグイスを使い独特の雅趣がある。

4 花点前 はな 「花点前」は,春の季、伝物点前、掛合がなく盆を使用する。

5 和敬点 わけいだて「和敬点」は道具も簡略にし茶箱の内で最も取組み易い。薄板を用いる。

6 色紙点 しきしだて 「色紙点」と,御所篭を用いた点前、茶巾箱と四枚の古帛紗を使う。

点前にかかる前の準備


・小ぶりの茶碗に、古帛紗を二つ折りにしていれ、その上に棗を入れて箱の手前寄りにおき、茶碗の右向こうに茶巾筒(両耳を出して入れる)。

・茶筅筒(茶筅を入れすぎるとカタカタいうので注意)、左に振出しを仕組む。

・茶杓は茶碗の上に斜めに伏せて入れる。

・帛紗を草(茶杓をふく時の形)にたたんで茶碗の上にのせ、蓋をし、盆(爪紅の山道盆)にのせる。  

●古帛紗は正方形の時、ワサは右
        半折の時、ワサは左が上
  


 


点前

1 茶箱を茶道口建てつきにおき、主客総礼。持ち出し、進んで瓶掛正面に置く。
(注:置いた後の手は、名残惜しんだように左→右とひいてくる)

2 つづいて、建水を持ち出し、手なりに置き、瓶掛正面にすわる。

3 盆を持って、客付きに寄せ、箱を両手で勝手付きにおき(注:勝手付きの際に寄せること)箱の蓋を両手でとって瓶掛正面におく。

4 帛紗を右手でとり、さばき直し、盆の左方を少し持ち上げ、盆の上を左から右へ三の字を書くようにふき、帛紗を盆の左縁にかけておき、

5 茶杓を右手でとり、左手で扱って持ち出し、前縁にまっすぐかけておく。

6 振出しを右手でとり、左手で扱ってまわして客付きに出して、主客総礼。

7 (左手で古帛紗をとり、右手で扱って蓋の上におき広げ)両手で茶碗を出して蓋の上におき(左手を茶碗に添え)棗を右手で出し、上から半月に持って茶杓の先、盆の中央におく。

8 (左手を茶碗に添え)古帛紗を右手でとって左手で扱い、箱と蓋の間に縦におく。

9 箱を両手で少し向こうに進め、建水を進めて、居ずまいを正す。

10 帛紗をさばいて、棗をふき(平棗の場合…帛紗を右脇で扱って、掌にのせ再び扱って蓋を二びき、扱って左手を半月)、左手で盆の向こう左寄りにおく。


11 再び、さばき直して茶杓をふき、元の位置におく。

12 帛紗を右手に持ち替えて、帛紗で鉄瓶の蓋をし(帛紗は先端をつまみにおくような感じにすると熱くない)帛紗は元の位置におく。

13 左手で茶筅筒をとり、右手で茶筅を出し、茶筅を茶碗にあずけ(茶碗の右横にコツンと一回打つ)、筒は左手で箱に戻す。

14 右手で帛紗を取り、左手で鉄瓶をとり、右手の帛紗で蓋をおさえて、湯を茶碗に入れる。

15  左手で茶巾筒をとり、右手で茶巾をとり出し、左手で筒を戻し、茶巾をたたみ直し(手は離さずたぐり寄せ、帛紗捌きのように正面で二つ折りした後左脇で半分に折り、正面で横にして半分織り込んで福だめを作る)盆の右におく。


16 茶筅通しをし、(2回打つ)茶筅は盆の向こう右よりに棗と並べておく。

17 茶碗を右手でとり、左手に持ち替えて、湯を建水にあけ、右手で茶巾をとり、茶碗をふき、茶巾を入れたまま右手で茶碗をおき、その手で茶巾をとり、元の位置におく。

18 右手で茶杓をとり、(左手をついて、お菓子をすすめ)左手で棗をとって、茶杓を握りこんだまま、(平棗の場合、手のひらに置く)蓋をとり、盆の前縁にかけておく。

19 二杓、茶を入れ、棗、茶杓を元に戻し、帛紗を取り、右手で鉄瓶を持ち、帛紗で蓋をおさえながら湯を入れ、

20 茶筅を右手でとり、茶を点てる。

21 右手で古帛紗をとり、左のひらにのせ、右手を逆手にして、客付きへ右手の親指を下にしておき、ひろげる。

22 右手で茶碗をとり、左のひらにのせて、正面を正し、右手で古帛紗の上にのせて、客に出す。

茶碗が戻ると

23 右手で取り、左手で扱いながら、蓋の上にとり込み、右手で古帛紗を二つ折りにして膝の右横に仮置きする。


24 帛紗をとり、鉄瓶の蓋をおさえて茶碗に湯を入れ、湯を建水に捨てる。

25 客よりおしまいの挨拶があれば、受け、茶碗を蓋の上におき(正客は振出しを出された位置に戻す)「おしまいにいたします」の挨拶をする。

拝見なしの場合                   
                           
26 右手で古帛紗をとって、左のひらの上にのせ、箱と蓋の間におく。

27  右手で振出しをとり、右膝横、古帛紗のあとの仮置きする。

28 帛紗をとって湯を入れ、茶筅通しをする。


29 茶筅を引き上げ右手にもったまま左手で筒をとり、茶筅を入れ左手で箱の中に戻す。

30 右手で茶碗をとり、左手で湯を捨て、右手で取った茶巾でふき、茶碗を蓋上に置き、

31 右手で茶巾をとって(右膝の上)左手で取った茶巾筒に入れ、左手で、箱にしまう。

32 右手で帛紗をとりさばき直して茶杓をふき、再び盆におき、

33 帛紗を建水の上で払う。帛紗を元に戻し、左手で建水を引き、両手で箱をひく。

34 古帛紗を右手で茶碗に入れ(左手は茶碗に添える)棗も入れ、茶碗を両手で箱にしまう(箱にしまう時は右上左下に手をずらす)

35 右手で振出しをとり、左で扱い、右手で箱の中に入れ、続いて茶杓を斜めに伏せて入れ(右手でとり左手を上、右手で反す)

36 帛紗で鉄瓶の蓋をきり、帛紗をさばき直して、茶杓の上に元のように箱に入れ、

37 蓋をして盆にのせ、正面に直す。

38 建水、盆の順に引き、茶道口で主客総礼して終わる。


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◆お稽古の手引き◆ 

●客の心得●
●割り稽古●





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