炉・旅箪笥◆


旅箪笥


利休好みで小田原の役の際、創案されたといわれているお点前です。
桐木地の棚で倹飩蓋がはめられ、落とし込みの金具がついており、これが引手金具にもなります。
左右両面には、持ち手の桟が付いています。

内部は、中棚と上棚がつくられ、地板に水指、中棚に棗、茶碗を仕組み、上棚には柄杓掛け用の切り込みが
あります。

野点の場合は、芝点として、中棚をはずして棗、茶筅を置き合すのに用います。


点前にかかる前の準備

・茶入れには客の人数分の茶を入れ、仕覆に入れ緒を結んでおく(一人、三杓、3.75g)
・棚の中板に棗、地板に水指を置き、柄杓を上棚に掛け、その下、地板上に蓋置を置いて戸を閉め、掛け金をしておく。


・菓子は点前の前に運ぶ。

点前

1、茶道口建付けに茶碗を置いて坐り、襖を開け総礼をし、茶碗を右手で取り左手にのせ持ち出し、棚正面に進んで坐り、茶碗を右手で横を持ち、左手で左手前を持ち勝手口に仮置きする。

2、掛け金を右手で上にはずし、戸の受け金に差し込み、左手を添えながら手前に引き、右手で戸の左角を持ち、勝手付き棚の横に立てかけます。

3、水指を地板いっぱいまで引き出し、中棚の棗を取り棚正面右寄りに置き、茶碗を左、右、左と三手に扱って、棗と置き合わせます。

4、水屋にさがり、建水を持ち出し、茶道口を閉め、坐ります。柄杓下の蓋置を取り、左掌にのせ、居前まで回り、蓋置を定座に置き、居前のまま、柄杓を棚から出し、扱って蓋置に引きます。

以下、茶を点てて出すのは、棚の炉薄茶点前と同様です。

5、左手で建水を膝前の線まであげて居ずまいを正し、
茶碗を左で取り、正面で右に持ち替え二手で膝前少し向こうに置きます。

6、右手で棗を取り、茶碗と膝の間に置き、左手で腰の帛紗を取り身体の正面で捌き、左手で棗を取り帛紗で棗を拭き清め、帛紗を握り込み、棗を左手で上から持って炉の角と水指の中心線上中央より左に置きます。

7、帛紗を捌き直して左手に持ち、茶碗の外から、右手で茶杓を取り茶杓を帛紗で清め、棗の中央に置きます。


8、右手で茶筅を取り、棗の右側に置き合わせ、茶碗を膝前に寄せます。


9、帛紗を左手の人差し指と中指の間にはさんだまま柄杓を右手で取りかまえ、右手で帛紗を取り、釜の蓋にのせ開け、露をきり、蓋置に置き、

10、帛紗を左膝前に仮置きし、茶碗の中の茶巾を蓋の上にをのせます。

11、右手に柄杓を持ち直し、畳と平行に横にし、節の元を押さえた左手に右手をすすめて持ち替え、柄杓を釜に入れ湯を汲み、柄杓を茶碗より合一つ分上に持ってきて、湯を茶碗に入れます。

12、柄杓を釜にあずけ、柄を下ろします。

13、右手で茶筅を取り、茶筅通しして、穂先を清め、茶筅を元の位置に戻します。

14、茶碗を右手で取り、左手に持ち替え、建水に湯を捨てます。

15、茶巾を右手で取り茶碗を大きく三回半拭き「い」「り」という字を書くように中を清め、碗中に茶巾を置き、茶碗を下に、茶巾を釜の蓋の上に置きます。

■茶を点てる■

16、右手で茶杓を取り、正客にお菓子をすすめ、棗を左手で横から取って、茶碗の左上で右手で茶杓を握りこんで棗の蓋を取り、右膝前に置きます。

● 客はこれを受け、次礼をして菓子器をおしいただき、懐紙を出して、菓子を懐紙にとり、次客に菓子器を送る。

17、握りこんだ茶杓を持ち直し、茶を二杓ほどすくい茶碗に入れ、茶杓を持ち替えて茶碗の縁で静かに打って茶を払います。

18、棗の蓋をし、右手で扱って左手で置き、茶杓を棗の上に戻します。

19、右手で水指の蓋の摘みを取り、正面で左手で横に持ち替えて水指の左側に置きます。

20、右手で柄杓を取り湯を汲み、茶碗に入れる。残りを釜に返し、柄杓を釜にあずけます。

21、その手で茶筅を取り、茶を点て、茶筅は元の位置に戻します。

22、茶碗を右手で取り、左掌にのせ、茶碗の正面を向こう側にし、右手で釜蓋下座に出します。

● 正客は茶碗が出されると、にじり出て膝前にそれを引き、にじり帰って茶碗を縁内に取り込み、茶碗を縁内次客の間に置き、次客に「お先に」と、会釈し(行のおじぎ)茶碗を膝前真中に置き、「お点前ちょうだいします」(真のおじぎ)と挨拶する。右手で茶碗を取り上げ、左手にのせ感謝の気持ちでおしいただき、正面をさけ時計回りに回し、いただく。

23、亭主は正客の挨拶を受けます。(行のおじぎ)

24、客の一口で亭主は帛紗を右手で取り、左手に打ちかえして腰につけます。

● 客は茶を喫み、最後に吸い切りをして、喫み口を指先で清め、その指先を懐紙で清める。茶碗の正面を正し、縁外に置き、拝見をし、正面を正し茶の出された位置に返す。

25、亭主は茶碗が返ると右手で取り、左手にのせ、右手で膝前正面に置きます。

26、湯を汲み、茶碗に入れ、柄杓を戻します。

27、左手で茶碗を取り、湯を建水にあけます。(替茶碗がある茶会などの場合は、茶巾で拭き、お茶を点てるを繰り返す)
 正客から、建水に湯を開けた時「おしまいください」の挨拶があれば、建水を持ったまま、右手を畳に置き軽く会釈し、これを受けます。

28、茶碗を右手で下に置きあらためて「おしまいさせていただきます」としまいの挨拶します。

■しまいつけをする■

29、右手で柄杓を取り、左手を添えて持ち直し水指から水を汲み、茶碗に入れ、しまいの茶筅通しをします。

30、茶筅を茶碗の横に置き建水に水を捨て、右手で釜の蓋の上の茶巾を取り茶碗に仕込み、右手に茶碗を持ち替え膝前に置き、茶筅を茶碗にとじ目を上にして入れます。

31、右手で茶杓を取り、左手で建水を引きます。

32、左手で帛紗を取って捌き、茶杓を清め(二度拭く)茶碗にふせて置きます。

33、帛紗の茶粉を建水の上で払い、腰につけます。

34、棗を右手で棚正面右寄りに置き合わせます

35、右手で茶碗を取り左手に持ち替え、棗の左側に置き合わせます。

36、右手で釜から柄杓をとり、水指から水を汲み、釜に水を一杓さします。

37、そのまま柄杓を釜に入れ湯をたっぷり汲み、湯返しをします。

38、柄杓を構え、右手で釜の蓋を閉め、柄杓を蓋置に置きます。
4
39、水指の蓋を左手に取り、右手に持ち替えて二手で閉めます。
 正客から「お棗、お茶杓拝見を」の拝見の挨拶があれば受ける。

40、居前のまま、柄杓を右手で取り左手で扱い棚板の上板に掛けます。

41、蓋置を右手で取り、左手にのせて棚の正面に回り、地板勝手付き置きます。
 

42、茶碗を右一手で勝手付に割りつけます。

43、右手で棗を取り左掌にのせ客付きに回り、棗を膝前に置き、帛紗を捌いて清めます。

44、蓋裏をしらべ、蓋を膝前に置き、棗の口を向こう、手前と帛紗で清める。帛紗を握りこみ、蓋を閉め、帛紗を膝前に置き、棗の正面を正し、右手で出します。

45、帛紗を腰につけます。

46、茶碗のある勝手付に向き、右手で茶杓を取り左手に持たせ、居前から棗の横に縦に置きます。(亭主から棗が左、茶杓が右で「01」)

■水指に水をつぐ■

47、棚正面に回り、建水を持ち、左足を立て襖前に坐り襖を開け、立ち上がり、敷合わせで左足でこえて水屋にさがります。


● 客は建水が引かれると棗、茶杓(一つずつ、下げ帰る「10」)と出された順序に引く。(右膝横に「01」)

● 正客は棗、茶杓と縁内に取り込み、亭主が水屋に入ってから次礼して、棗、茶杓の順に縁内で拝見をし、(細部を拝見する時は、両ひじを膝の上にのせ拝見する[蓋などを開けて見る])終わると出会いで返し、出された反対に返す。(正客側から「01」)

48、水次を持って入り、棚正面に座り、左に手なりに置きます。

49、水指の蓋を三手で取り、扱って、水指の前に立てかけます。

50、水次を上げ、茶巾を口にあて、水指に水をつぎます。

51、水次をおろし、茶巾を蓋上に戻し、水指の蓋を扱って閉め、水指を奥に入れます

52、水次を正面から持って下がり、襖を閉め、拝見の返るのを水屋で待ちます。

■問いに答える■

53、亭主は茶道口(水屋の入口)にいったん坐り、席中をうかがい、拝見物が返った様子であれば、襖を開けて席に入り、道具正面に坐り、正客からの拝見物の問いに答えます。

「棗のお形は?」「お塗りは?」「茶杓のお作は?」「ご名は?」の問いに


「棗は中棗でございます」「正良作でございます」「杓は影林宗篤で、ございます」「薫風でございます」 などと答えて、
「いずれもありがとうございました」 と一礼する。

54、右手で棗を取り左掌にのせ、右手で茶杓を取り、棚正面に回る。

55、茶杓を天板にあずけ、棗を右手に持ち替えて、中棚に仕舞い、

56、右手上、左手下と戸を持ち、引き出して、


57、掛け金を右手親指が上になるように持ち、地板の溝に戸の下部がはまるように左手を添えて入れ、戸を閉め、掛け金を外し、上から下に掛け金を差し込みます。
 
58、天板の茶杓を三手扱いで持ち、茶道口に下がり、


59、建付けに茶杓を置いて、総礼して終わります。

芝点の場合、中板を外したり、入れたり、
総荘りの場合は、茶巾を絞って茶碗に仕組んだ後、棗と同時に持ち荘ったりします。



◆お稽古の手引き◆ 

●客の心得●
●割り稽古●





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