◆風炉・薄茶・運び点前(酷暑)洗い茶巾


洗い茶巾は茶室に涼をよぶ夏の点前です。
水を張った平茶碗に二つ折りのままの茶巾を入れて運び出し、点前の途中で茶巾を絞ってたたみます。
棚物を用いても、運び点前でもよいのですが薄茶に限ります。
茶碗に水が入れてあるので、運び点前でも棗、茶碗を同時に運び出すことはしません。


点前にかかる前の準備

◎水屋ですること  

・薄茶器に中高になるようにお茶を入れる。

・平茶碗に水を七分目ほど張り、その中に茶巾の端を対角線にとって二つ折りにして入れ、茶巾の端を右方に少し出しておき、その上にいつものように水で清めた茶筅、茶杓(かい先は下)を茶碗に仕組む。


・水指に八分目の水を入れる。
 風炉の右横に置き合わせる。
 (持っていける水指の場合は置き合わさずに運ぶ)

・風炉用の竹の蓋置を使用。(節が上方にある)

・柄杓を準備。(柄の
切止めが身のほうにある)

◎菓子器は点前の前に正客の前に出しておく。

 


点前

1、洗い茶巾の茶碗を建付けに置き、茶道口敷居から27cmほど開けて坐り、襖を開け、両手を揃えて総礼をする。(真のおじぎ)

2、運び出し、居前に進み、茶碗を左手に添えて(茶碗に水が入っている時は両手の扱いになる)勝手口に仮置きする。

3、さがる時は左膝から立ち上がり、敷合わせを左でこして水屋にさがる。

4、次に右の掌に棗をのせ、右手に持ち、左手に仕組んだ建水を持って出て、居前に坐り、

5、建水を置き、右手の棗を左手で扱って(横)右手(半月)で餅、水指右寄りに置き、仮置きした茶碗を左手を添えてとり上げ、左手を添えたまま棗を置き合わせる。

◆棚物を使用した場合

茶碗のみを運び出し、両手で勝手付に仮置きし、棚の棗を右手で手いざにおろして、茶碗を両手で棗をおきあわせます。そして建水を持ち出して点前をすすめる。

6、左手で柄杓の節の下を持ち、右手を添えて持ち直し、かまえる。⇒鏡柄杓という。

7、右手で建水の中の蓋置を取り、柄杓の内側を通り、取り出し、敷板の左角に置き、柄杓を上から右手で持ち直し、蓋置きの上に合をのせ、(柄杓の柄は左膝の前近くに向ける)コツンと音をたてる。(蓋置が竹の場合)

8、左手で建水を膝前の線まで進め、居ずまいを正す。

9、茶碗の右手前を右手で取り、左手を添えて持ち、両手で膝前向こうに寄りに置く。

10、棗を取り(半月に持つ)、茶碗と膝の間に置く。

11、左手で腰の帛紗を取り捌き(さばき)、右手で持ち、左手で棗を取り、甲を「こ」の字に拭き、帛紗を棗上で拡げ、向こうへつき、肘をはりながら横へぬき、棗を水指の前左寄り茶碗のあったあとへ置く。

12、帛紗を捌き直して左手に持ち、茶碗の外から右手で茶杓を取り、長いものを拭くような気持ちで三度拭き(かい先下げ、上、横、上、下、上、抜く)棗の上に置く。(かい先は上に向ける)

13 、右手で茶筅を取り、棗の右側に置き合わせ、

14 、帛紗を左手の人差し指と中指の間にはさみ、柄杓を右手で取り、左手で扱ってふしを持ってかまえ、

15 、帛紗で釜の蓋を取り、蓋置きの上に置き、 帛紗を建水のうしろに仮置きする。

16、柄杓を置き柄杓で釜の口にあずける。(柄杓は一旦横にしてから釜にあずける)

17 、茶碗を両手で手前に寄せ、茶巾の端を右手で持ち上げ二つに折って軽く絞り、建水の上に持ってゆき、硬く絞り、茶巾をたたみ、釜の蓋の上に置く。

18、茶碗を両手でとり上げ、水を建水にあけ(あけ方に注意)右手で膝前に置き(以後点前が終わるまで片手扱いになる)

19 、柄杓を扱って(横にする)湯を汲み、茶碗に入れ、柄杓を釜の上にあずけ、置き柄杓(手なりに釜にのせ節下を親指と人差し指で上下から軽く摘む)をする。

20 、右手で茶筅を取り、茶筅通し(二度あげ、三度打ち、さらさら「の」の字)して、穂先を清め、茶筅を元の位置に戻す。(両手は「ハ」の字で膝に持ってくる)

21 、茶碗を右手で取り、左手に持ち替え、建水に湯を捨てる。

22 、茶巾を右手で取り、茶碗を大きく三回半拭き、(福だめをつまみ親指が茶碗の外側になるように茶巾にかけ、親指と人差し指でしっかり持ち三本の指を軽くまげ茶碗を回しながら行なう)手前へ持ってきて抜き取り、(人差し指が茶碗の底になるように入れ、向こう端手前三分の一折り返し)茶巾を持ち替えて(人差し指を親指で逆手に取り)「い」「り」という字に中を拭き、茶碗に茶巾を置き、

23 、茶碗を下に、茶巾を釜の蓋の上に置く。

24、右手で茶杓を取り、左手を畳に軽くおき、頭を下げ、「お菓子をどうぞ」とすすめる。

● 客はこれを受け、次礼をして菓子器をおしいただき、懐紙を出して菓子を懐紙にとり、次客に菓子器を送る。(左に菓子があった時に礼、真中に移動しいただき左に移動する)

25、亭主は左手で棗を取り、右手で蓋を取って(手は半月)、右膝頭に置き、

26 、茶を二杓ほどすくい、茶碗に入れ、茶杓を茶碗の縁で軽く打ち、(中高に盛られた山を避け、くずさぬように「つ」の字を描くように)蓋をし棗と茶杓を元へ戻す。

27、右手で水指の蓋の摘みを取り、左手で横に持ち、右手で左手の上を持ち替え(30度位の位置)、摘みが右横になるようにして、水指の左横に置く。

28 、柄杓を持ち、湯を汲み、(右手で人差し指を中指で立てるように)茶碗に入れ、残りを釜に返し、切り柄杓をする。(手なりに柄杓を釜にのせ そのまま親指と人差し指が直角になるくらいに手を広げ、そのまま静かに親指で柄杓の柄をささえるようにして釜にあずける。)

29、切り柄杓のあと、その手で茶筅を取り、泡が細かく立つようにさらさらとふり「の」の字を書くように静かに引きあげ、茶を点て、茶筅は元の位置(水指の前)に戻す。

30、茶碗を右手で取り左掌にのせ、茶碗の正面を客のほうへ向けてすすめるため、回して出す。

● 正客は茶碗が出されるとにじり出て膝前にそれを引き、にじり帰って茶碗を縁内に取りこみ、茶碗を縁内次客の間に置き、次客に「お先に」と、会釈し(行のおじぎ)茶碗を膝前真中に置き、「お点前ちょうだいします」(真のおじぎ)と挨拶する。右手で茶碗を取り上げ左手にのせ、感謝の気持ちでおしいただき正面をさけ時計回りに回しいただく。

31、亭主はこれを受ける。(行のおじぎ)

32、客の一口で亭主は帛紗を右手で取り、左手に打ちかえして腰につける。

● 客は茶を喫み、最後に吸い切りをして、喫み口を指先で清め、その指先を懐紙で清める。
 
茶碗の正面を正し縁外に置き、拝見をする。
 
茶碗を左掌にのせ、正面を正し(反対に回す)、出された位置に返す。

● 次客へ茶が出されたら、まず縁内右膝横に置き、「お相伴いたします」と挨拶し、その後、左膝横「お先に」、膝前真中「お点前頂戴いたします」と挨拶し茶碗を取り、感謝の気持ちでおしいただき、正面をさけ、回しいただき茶碗を清め、指先清め、拝見し、返す。

33、亭主は茶碗が返ると、右手で取り、左手にのせ、右手で膝前に置き、

34、湯を汲み、茶碗に入れ、置き柄杓(柄杓は手なりに釜にのせそのまま親指を柄の下にくぐらせ、右側に出し、節下を親指と人差し指で上下から軽く摘むようにして、静かに釜にあずける)する。

35、湯を建水に捨て、正客から挨拶があればこれを受ける。

● 正客は、ここで「おしまいください」という

36、茶碗を右手で下に置き、「おしまいさせていただきます」と挨拶し、

37、右手で柄杓を上から扱って取り、水を汲み茶碗に入れ、柄杓を釜にあずけ、引き柄杓する。(手なりに釜にのせ、節から手のみ2,3cm手前に引く。親指を左から大きく手前に回し五本の指をそろえたまま、柄の端まで引く。最後に親指と人差し指で軽く輪を作るようにして釜にあずける)

38、茶筅通しをし、(一度あげ、二度打ち、(さらさらしてコツン、あげて、コツン、「の」の字))

39、茶筅を水指の前に置く。

40、建水に水を捨てる。

41、右手で茶巾を取って、茶碗に置く。

42、茶筅を取り、茶碗にとじ目を上にして入れ、

43、右手で茶杓を取り、左手で建水を引いて、

44、帛紗を捌いて、茶杓を二度拭いて、茶碗にふせて置き、

45、帛紗を左手でにぎりこんだまま、右手で茶碗の右横に持ち、少し左のほうに寄せ、

46、棗を右手で茶碗に置き合わせる。(中じまい)…〈釜と水指の中間〉
            
                〈本じまいは水指の前〉

47、帛紗の茶粉を建水の上で払い、腰につけ、

48、柄杓を扱って、水指から水を汲む。(上から握りこんで取り手で柄を滑らせ、親指と人差し指で摘むようにする)

49、釜に水を一杓さし、左手に柄杓を持ち、

50、釜の蓋を閉める。

51、柄杓を蓋置の上に置き、

52、水指の蓋を三手で閉める。(右、左横、右)

● この時、正客から「お棗、お茶杓拝見を」の挨拶があれば受ける。

53、柄杓を右手で取り、左手で持ち替え、建水にたたみ(ふせる)、

54、蓋置を右手で取り左手で持ち替え、建水のうしろに置く。(一文字に)

55、茶碗、右一手〈中じまい〉(右→左掌→右〈本じまい〉)で勝手付きに割り付け、

56、棗を取り左手にのせ、客付きに回る。(右に身体をずらす)

57、棗を膝前に置き、帛紗を捌いて清め、蓋裏をしらべ、蓋を膝前に置き、棗の口を向こう、手前と帛紗で清める。

58、帛紗を握りこみ蓋を閉め、帛紗を膝前に置き棗の正面を正し(時計回りに回す)右手で自分から見て左に出す。

59、帛紗を腰につけ、居前に回り(正面にむく)、

60、右手で茶杓を取り、左手に持たせ、客付きに回り、右手で(右手首を左の茶杓を持つ手にかぶせるような形にする)棗の右に縦に置く。「01」1が茶杓で0が棗)

61、柄杓を左手で取り右手に持たせ、(横にし、節あたりに右手をかぶせる)左手で蓋置を取り右手の親指、人差指、中指の三本で持ち、一膝勝手付きに向き、建水を持ち、

62、左足を立て、立ち上がり、敷合わせ、左足でこえてさがる。

● 客は建水が引かれると棗、茶杓(一つずつ、下げ帰る)と出された順序に引く。

63、茶碗を右手で取り、左掌にのせ、さがる。

64、続いて、水指正面に坐り、水指を引き、襖を閉め、拝見の返るのを水屋で待つ。

● 正客は棗、茶杓と縁内に取り込み「01」、亭主が水屋に入ってから次礼して、棗、茶杓の順に縁内で拝見をし、(細部を拝見する時は、両ひじを膝の上にのせ拝見する[蓋などを開けて見る])終わると出会いで返し、出された反対に返す。

65、亭主は茶道口(水屋の入口)にいったん坐り、席中をうかがい、道具正面に坐り、
「棗のお形は?」「お塗りは?」「茶杓のお作は?」「ご名は?」などの問いに
「棗は中棗でございます。」
「中村そうてつで、ございます。」
「杓は大得寺、利休で、ございます」「花火でございます」などと答えて、
「いずれもありがとうございました。」挨拶し、

66 、おじぎの後すぐに左手を膝に、右手は棗を取り左掌にのせて、右手で茶杓を取る。

67、持ってさがり、茶道口に坐り棗を身体近くに置き、茶杓を建付に置き「10」一礼して襖を閉め、(近いほうの手で襖の縁を逆手に持ち、半分まで引き、反対の手で縁を持って、その手が柱にあたる位まで引きつけ、残りは同じ手を引き手にかけて閉める。



◆お稽古の手引き◆
 

●客の心得●
●割り稽古●





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