◆小物について

真田紐



真田紐(さなだひも)は、縦糸と横糸を使い機で織った平たく狭い織物の紐ですが、
10年ほど前からその紐が気になる存在でした。

初めてその名前を耳にしたのは、
お茶のお道具を包むお仕覆作りのお教室に通った時だったと思います。
お教室の 上田晶子先生 のお薦めで、
綴じ紐や、かがり紐を扱う京都の 『伊藤組紐店』 の存在を知りました。
そこで扱う真田紐は、リボンとして使うのは贅沢だけれど、なんだか気になる存在でした。

その後、手芸家の 下田直子さんの和装バッグの本 と出合い、
持ち手を作る素材として選ばれていたものが、真田紐でした。
筒状になっているその真田紐の中に細いロープを入れて仕上げるのですが、
その時作ったバッグは下の写真のような仕上がりです。
このときは茶色の無地の真田紐を使いました。
(下田直子さんの本)

このことが、その紐の丈夫さや形態を知るきっかけでした。
その後、お茶を出会って、また触れる機会がやってきました。

   

名前の由来は、
関ヶ原の合戦後に九度山に蟄居していた真田昌幸・信繁父子とその家族が作製し、
堺の商人を通じて販売したとされ、
各地で 「真田の紐は丈夫な紐」 と評された事から名付けられたといわれているというのが通説ですが、
諸説あるようです。

「紐」 を意味するチベット周辺の言語 「サナール」 が転じたとする説
平安時代に日本に入ってきたとされる真田紐が当時は 「さのはた(狭織)」 と呼ばれていた為、
「さのはた」 が 「さなだ」 に転化したという説もあるそうです。

その歴史は、正倉院の御物やエジプト時代の紐にもあるということなので、はるか昔のようです。


真田紐には一重織り・袋織りがあり、材質は木綿または正絹です。

主に茶道具の桐箱の紐、刀の下げ緒・鎧兜着用時の紐、帯締め、帯留め用の紐、荷物紐等に
使用されているそうです。

伸びにくく丈夫なので、重いものを吊ったり、しっかりと物を縛る事に適しているようです。

数多くの柄があり、一部は家紋の様に家・個人の決められた柄があり、
個人・集団の認証・作品の真贋鑑定に使われているということです。

宮廷に近い紐と言われる組紐に対し、庶民・武士が常用したのが真田紐であり、
刀のサヤに結んで下げたり、荷物に巻きつけて担いだりという使用方法からわかるように、
生活の道具として使われていたようです。
装飾に使われる組紐に対し非常に実用的だった事が伺えます。

茶の湯の世界では、戦国時代末期、千
利休の発案で当時武将が使っていた刀の下げ緒が非常に伸びにくく丈夫であることから、
それまで鹿革の紐を使っていた桐箱に使用するようになったそうです。

使う紐の色で、流派がわかるようになっているということで、
それは、”流儀紐”と呼ばれているそうです。
家紋の代わりとして ”裏千家好み” ”遠州好み” など、
紐を見ればどの茶家に縁のある茶道具なのか、わかるようになっているといいます。

また、窯元と紐屋さんは特約で色や柄を決め ”お約束紐” とし、
お道具の鑑定や格付けに役立つように、その紐の重要性を大切になさっているそうです。

その他には、千家十色の職人などが自分の作品にかける ”約束紐”
神社仏閣で使われる ”習慣紐” などがあるそうです。

最近の用途は、ストラップとして使う、ベルトのようにして使う、リボンとして使うなど
様々に使われていますが、
着物の時に、帯締めとして使用するなら、160cm.
帯留を通して使用するなら、120cmから140cmあれば、いいかと思います。

組紐の本




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