◆着付け

お手入れの仕方

●きもの着用前後のお手入れ●

着物を着る前にはお化粧などで手が汚れていることがありますので、
念入りに手を洗うことが一番目の過程といえると思います。
 まず、気が付かないでで着ていることもあると思いますが、汚れがつくのが袖口です。
 着る前に、手首まで念入りに洗い、清潔にするのが良いと思います。

 また、着物を着る前に、汗をかかない環境づくりも大切です。
 汗ばむ時期は、着付けの前に、エアコンを入れておくなどをするのが良いと思います。
 外出の時間に間に合わない、着付けがうまくいかないなどで、冷や汗をかくこともありますから…。

 着物を着用する時には、清潔な部屋で着物を広げることが好ましいと思います。
 広げることのできるお部屋があれば、綺麗にお掃除をしておくことも、着物が汚れないことの一つです。

 衣装敷という名称で販売されている、大き目の敷き紙を敷くという策もあります。
 半襟をつけたり、衿芯を入れたり、伊達衿をつけたり、帯を折ったりと、
着物を着る時は何かと準備や作業することが結構あるものです。
 最近は、床の住環境が多いと思いますので、その作業の時もお使いになることをオススメいたします。

キモノのしたく・片づけ



 ◆外出時◆

 車の乗り降り、階段の上り下りは裾が汚れやすいので、特に気を使いたいものです。

 着物を着ると、初めての方はとても窮屈に感じるかもしれませんが、
洋服と同じような動きをすると、扉のノブにひっかけたり、
思わぬところで、着物がほころびたり、汚れの原因になります。
 また、袖付けのところは、とても繊細に縫い合わされていますから、
袖を引っ張るなどはデリケートになさったほうが懸命です。

 着物を着た時に特に気をつけたいのは、袂(たもと)です。
 食事の際は大き目のハンカチを用意して、膝におくというのが無難です。
 また、お料理を取る際は袂を抑えるなどして汚れないように気をつけていれば、
汚れないというだけでなく、とても艶っぽい着物姿が演出できます。

 ◆外出後◆

 外出から戻ったら、着物だけでなく帯や着付けに使った小物類も、風通しの良い場所に、
体温や湿気を取るため、着物ハンガーなどに干しておく行為をさぼしといいますが、

 私の場合、着物ハンガーは、扱いにくいので、お洋服のハンガーを使っています。

 これに、前日、長襦袢、着物を下げておきます。
 これは、箪笥の中に入れてある樟脳臭さを飛ばす意味もありますし、
着物のコーディネイトは前日に用意し、当日は迷わず、着付けに集中するためでもあります。
 出かける当日に、しわがあったり、半襟がついてなかったり、
帯揚げの色で迷ったりすることを避けるための策でもあります。

 そして外出から戻ったら、とりあえず脱いだ順から、これをお洋服のハンガーにかけていきます。

 このときは、肌着や足袋は、洗濯しますから、別にまとめます。

 帯揚げ、これは、意外に汗を吸っています。

 お道具類は専用の箪笥にほうりこんで、閉めずに置いておきます。

 帯、ハンガーにかけます。
 着物、ハンガーにかけます。
 長襦袢、ハンガーにかけます。

 半襟、汚れていて時間があれば、取り外して先の洗濯ものと一緒にまとまておきます。

 一晩、放置します。この時、風通しがいいように部屋の扉を開けておきます。

 時間があれば翌日、汚れなどがないか点検し、しまう作業に入ります。
 その際、いつどこで着たか、また、丸洗いに出したなどを、たたとう紙に書いておきます。
 どんな帯を合わせたかも書いておいて、「いつも同じコーディネイト」 を防いでいます。

 また、この作業が終わっても、まだ時間に余裕があれば、次回に着たい着物をセットします。
 この時は、着物と帯を合わせて小物を用意するだけで、そのまま箪笥に入れておきます。
 アンティーク着物も多くあるので、計測しておいた袖丈や裄を確認し、
それにあった長襦袢を用意し、これも時間があれば、半襟付けをしてしまいます。

 簡単なお手入れひとつで、着物を長く着ることができますし、
着物を億劫がらずに着れる方法でもあると思っています。



■その他のお手入れ■
●アイロンかけ●

 着物は洋服のように頻繁にアイロンをかけたりしませんが、着物を着る前のたたみシワをとったり、
着物を脱いで湿気を十分にとった後、シワを伸ばしたりする際に使用します。

 扱い方によっては、着物が縮む恐れがありますので温度には十分注意が必要です。

 湿気は縮みの原因になりますので麻、木綿以外は霧吹きやスチームはなどは使わないほうが無難です。

 またアイロンをかける際は、必ず当て布を使用します。(木綿や麻以外)
 
素材 適温
木綿・麻 180~200度
130~150度
ウール 120~140度
レーヨン・キュプラ・ポリエステル 110~150度
アセテート・ビニロン・ナイロン 110~130度

 ※アイロンの種類や素材によって適温は異なりますので、取扱いには十分注意して下さい。


●虫干し●

 着物は湿気を吸うといたみやすくなり、カビも発生しやすくなります。

 そこで虫干しをして、着物や帯、草履やバックなどの小物類の湿気をとる、
湿気の多い日本ならではのお手入れ法です。

 虫干しには季節ごとに呼び名があります。


虫干しの種類
土用干し 7~8月
秋干し 10~11月
冬干し 1~2月

 湿気をとる夏、空気がよく乾燥している時期の秋、
最も乾燥している冬と、昔は丁寧なお手入れをしたようです。

 虫干しを行う日は2~3日晴天が続いた日を選び、
午前10時から午後3時ぐらいまでの間に室内の風通しの良い場所に
綱や竿などに着物をかけ、風を通します。

 虫干しは、着物を長く着るための生活の知恵です。

 最近では、冷暖房器具の普及で快適に過ごしているので、
除湿をこまめにして、着物の出番を多く持ち、着る度にさぼすことを、
虫干しとしているずぼらな私です。(*^_^*)



 ●洗い張り●

 洗い張りは、解(と)いてから洗うので、とき洗いともいわれる、昔からある着物のお洗濯方法です。

 着物をほどき一反の着物の形にしてから洗います。

 ほどいてお洗濯をしますので、お洗濯後は仕立て直しをしてもらいます。
 前後の身頃を入れ替えたり、裾が切れている八掛を変えたり、
色をかけたりして新たな着物に仕立ててもらえます。

 洗い張りは仕立て直しのこともありますので、
着物の知識のある専門店や呉服屋さんにお願いするのが安心です。


 ●丸洗い・生洗い●

 最近ではクリーニングの技術も発達したこともあって、
洋服と同じ感覚で着物を洗うことができるようになりました。
 これを丸洗いといいます。

 丸洗いは着物の形のまま、化学洗剤で洗うので縮み等の心配もなく何度も洗え、
洗い張りに比べ費用も割安なことからお手軽に出すことができます。

 また一枚ずつ丁寧に洗ってくれる生洗い(きあらい)というのもあります。

 丸洗いを私は頻繁に利用します。

 現在住んでいる所に引越しをしてから、近くの呉服屋さんが、
雑誌”七緒”で、タイアップ広告を出していました。
 自社工場をお持ちになっていて、お手ごろなお値段でお手入れができることを知りました。
 帯が洗えることも、こちらに顔を出すようになってから知りました。

 それからというもの、一度、普通のドライクリーニング店に出して、
機械染みのようなものがついてきた経験から、二の足を踏まずに
 少し汗をかいてしまったな。
 お菓子をこぼしてしまったな。
 何回か着たし、そろそろさっぱりしたいな、という時にお世話になっています。

 やはり、着物だけは、その道のプロにお任せするほうが安心です。

 着物には、キセとういう工程が施されていますから、知識のないところにお任せすると心配です。

 また、金箔、銀箔や刺繍、特殊な染料などを用いた着物などは特に、
専門家にお尋ねするのが良いと思います。

 着物は高価なものも多いですし、譲り受けた着物なら、生地や糸の傷みもあるかもしれません。
 使っている生地で、対応もかなり違ってきます。

 今はインターネットで、重さでおいくらなんていうのもありますが、
依頼する際は、お値段より、着物の知識のある専門店へ任せするのが懸命だと思います。

 先日、紅絹の裏地の袷の着物を出しましたが、
「若干色抜けがあるかもしれない」とのお電話をいただきました。
 そういう確認がいただけることは、とても安心感があります。
 仕上りは、目で確認できる色抜けではありませんでした。




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