◆着付け

長襦袢

 和装では着物を長着(ながぎ)、その下に着用するものを下着といいます。

着物の下着とは、正礼装の着物の下に着用する下襲、長襦袢、肌襦袢などがあります。
 長襦袢は着物や下襲の下に着るもので装飾、実用面の両方の役割をしています。

着物の振りから見える長襦袢は、着物のセンスがうかがえるところです。
ちらりと見えるその柄や色に、上級者の着こなしであるとか、こだわりだとかを感じます。

冬は袷の長襦袢にすることで温かく、夏は下着が透けるのを防いだりします。

また着物の衿、袖、裾などへの汚れもつきにくくなります。

長襦袢の丈は、対丈(ついたけ)といって着物のように「おはしより」がありません。

 ●衿の仕立て●

 通し衿の関東仕立てと別衿の関西仕立てといわれるものがありますが、
最近では別衿仕立てがほとんどのようです。

関西仕立て
別衿
関東仕立て
通し衿

 ●衿の種類●

 ゆかたなどの衿に用いられる棒衿(ぼうえり)
 三味線の撥のように先が広がっている撥衿(ばちえり)
 着物の衿と同じ仕立ての広衿の3種類があります。


 ◆長襦袢の種類と衣替え◆

単衣 うすもの
11月~4月 5月~6月、9月~10月 6月中旬~9月中旬
・裾を引き返した仕立て
・胴の部分は単衣
・袖部分だけを袷仕立てにした無双袖
・袖は広袖 又は丸みをつけた袖

※真冬もしくは寒冷地では胴の部分に裏がついた、袷仕立ての長襦袢を着用
・袷に使用する生地で単衣仕立て
・袖のは広袖
 又は丸みをつけた袖で、広袖
・袖口は反端をそのままか、くける
・うすものの生地、絽(ろ)や紗(しゃ)、麻
・単衣仕立て
・袖のは広袖、
 又は丸みをつけた袖で広袖
・袖口は反端をそのままか、くける

※盛夏の着物は色目、生地ともに薄いので選び方に注意が必要

また、透けることから長襦袢の丈も重要

長襦袢は、袷以外の仕立てにすると背縫いが見えた状態になります。
特に単衣仕立てにすると、生地が薄いこともあり、
座ったりすることによって背縫いが裂けたようになるのを防ぐために「衣敷当て(いしきあて)」という
表地にあった生地、長襦袢の共布や羽二重などの別布を用いておしりの部分を補強する
実用的な仕立てがあります。

坐ったり立ったりの動作が多い場合は、衣敷あてがあったほうが好ましいと思います。
 ちなみに、ない場合、おしりのあたりの背中心、裂けてきます。

着用時期は地方により多少時期のずれがありますし、最近では地球温暖化もあるので、
季節を先取りして着物の更衣えより半月から1ヶ月時期をずらして着用すること多いようです。

さて、この長襦袢ですが、最近では、二部式や”うそつき”と呼ばれる半襦袢で、
お袖だけをお好みのものに取り替えられるものがあります。

こんなものは邪道!そうおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、
昔は、襦袢は女郎の着るものであったといいます。
 そう、昔は二部式こそが正当だったとか…。

便利なものは使う。用途に応じて試してみる。
そんな心持で色々着用してみて、居心地のよいものに出会うことで、着付けも楽しくなると思います。

●うそつき襦袢●とは…

袖の部分を長襦袢に似せていることから、うそつき襦袢という楽しいネーミングがついています。

着物などの余り布、不要になった着物、羽裏(はうら)の残布(ざんぷ)、
八掛(はっかけ)などの布を用いた襦袢の袖で、
身頃は吸湿性のある晒(さらし)やガーゼなどの木綿を使った半襦袢です。

袖に使った、共布でお揃いの裾除けを作ったものもあり、二部式の襦袢になります。

 市販されているものも数種あります。
 一体型のものもありますが、お袖だけを取り外して別の色柄のものを
マジックテープでつけるそんな商品もあります。

趣味のお着物に着用するのが好ましいのでしょうが、礼装用の白のものもあります。

お着物を多くお持ちの方やお着物に合わせて振りのちらりを楽しまれる方には、
便利なアイテムではないでしょうか。



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